「ワインの仕事は仲間に任せてあるので、何もしなくていいから」
渡仏前に弟は確かにそう言っていた。「私で出来ることがあれば、何でも言ってね」と私も確かに言ったのだが、まさかこんなに大変なことになるとは。。
11月の半ば、弟がやって来て、その悪夢は始まった。「仲間との会議が終わったら、どこでも行きたいところに案内するよ」などと嬉しいことを言っていたのに、「日本の立ち上げに注力している間に、フランスの出荷を先延ばしにして寝かせていたことをこっぴどく怒られた。今すぐ出荷作業を始めて年内に片付けることになった。」あらそう、大変ねー、そんな時間あるの?と思ったら、何だ、私がやるのね。どのくらい大変なのか、予想もつかない私、10日間くらいの労働と聞き、まぁそのくらいは手伝うか、と引き受けました。
醸造場の地下に眠る瓶詰め済みのワイン達を引き上げ、1本1本水拭き。ざっと4千本くらいだろうか。エチケットには年次の記号を追加記入しなければならず、スタンプ押したりシール貼ったり、地道な内職も続く。
エチケットは機械で貼るのだが、物により首に年次シールや裏書きシールを貼るのは手で1枚1枚貼っていく。アシスタントの日本人女性1名が一緒に作業してくれるのだが、これが早くて頼りになる!!二人で毎日黙々と作業すること2週間。ようやく目処が立って来た。
そこへ再び弟がやって来て、「カーブの樽で寝かせていたワインと瓶熟成した09年物も一気に出すよ。」と結局さらに6千本ほどが追加され、合計1万本近い作業に。樽からホースでタンクに移す→タンクとタンクを均質化しながら瓶詰め(充填機でやる)→エチケットを貼る→梱包する→パレットに積む。1箱12本で約10kgを毎日60箱くらい積み上げる。出荷する時には、出荷先毎にパレットに積み替えて行く。この上げ下げを繰り返し、腕は完全に腱鞘炎、ダンボールや水拭きで手荒れも酷い。
積み上げたパレットはフォークリフトで動かして、ただでさえ狭い醸造場は、積み上げられたワインでもう一杯いっぱい。朝7時半から夜7時過ぎまで、この肉体労働が毎日続き、土日もなく、遊びもなく、勉強する気力もなく、1ヶ月が過ぎ去った。あぁ、結局こういう宿命なのだろうか。思えば、会社勤め中もこんな感じで、後から後からやることが増えていく…
そんな中、弟が来る度、瓶熟成や樽の中のワインの状況をチェックするので、毎回3−4本くらい開けていく。その残りはご褒美として?私が美味しくいただきます。そのくらいの役得は無いとね。やってられないわ。
12月中旬に入り、ようやく出荷が始まる。大きなトレーラーが引き取りにくるので、フォークリフトで積み上げ、輸出や納品関係の書類を渡し、確認サインをする。言葉もロクに出来ないのに、私も一人でよくやるもんだなぁ。トラックの運ちゃんは、みんな気の優しい人達で、私のノロノロ作業も温かく見守ったり手伝ってくれたりして、それは本当に救いだわ。本年最後の人に「良いクリスマスを!」と声をかけたら笑顔で「あなたも!」と去って行った。まだ半分くらいの出荷と間に合わなかった一部の作業が年明けに持ち越しだけど、疲れたからもう年内はやーめた!!っと。
楽しいフランス生活を送ってると思ってたら思いも掛けない肉体労働をさせられてたのね~☺️ お疲れ様‼️
失われた1ヶ月、でもまぁ運動にはなりました。運送業でも働けそう。